石波義人の俳優日誌

公演日誌 Ⅶ(千秋楽)

2月1日 京都 千秋楽 

とうとう日本での最後の公演の日がやってきた。

私はワークショップの教材がまだ探せていないのと、前日楽屋でベンヴォーリオ役の西本さんが私とアマリア役の米倉とエリザベス役の小沢さんにプレゼントしてくれた佐藤愛子の『血脈』という小説のことが気になり、また4時間ぐらいしか眠れなかった。

西本さんがこの本をプレゼントしてくれた真意は、チャールズとアマリア、エリザベスとの関係はこの小説『血脈』に出てくる佐藤紅緑とその妻ハル、およびその愛人シナとの関係に相似していて参考になるから読んでみなさい、ということだった。
私はブルガリア公演までには何とか芝居の中の3人の関係がよりよく表現できるよう頑張りますと答えたが、西本さんは今作り上げている3人の関係に不満をお持ちなのは明らかだったので、私はその日の夜から気になりだしたのだった。

で、朝早く目が覚め、ベッドの中で台本を広げ、その後喫茶店であれこれ考え、3人の関係に修正を加えられそうなことを思いついて少し安心し、府立図書館までワークショップのための教材を探しに行ったのだった。


府立図書館では結局教材として使えるようなものは見つからず、ワークショップでは予備に用意して置いた『動物たちのおしゃべり』という詩を使ったのだったが、この図書館でたまたま劇団京芸の代表の藤原薫さんという方が書いた『わが芝居人生』という本を見つけた。
この本は座員あるいは座長として劇団を運営してきた藤原さんに降りかかってきたいろいろな出来事が描かれているが、同じ俳優としての視点で文章が綴られているのがめっぽう面白く、約2時間、時を忘れて読みふけった。

芝居の稽古中、また公演中は、見るもの聞くものすべてを、自分が今演じようとしている役柄に関連付けてみてしまうもので、そして案外それが自分の役作りのヒントになったりするものだが、このときもそんな感じがして、興奮さめやらぬまま図書館を後にした。

この日の公演が自分としても満足の行くものだったことは言うまでもない。

こうして日本での公演は終わったのだが、いくつかの演劇鑑賞会の役員の方々も観に来てくださって、とても面白かった、あるいはすごい芝居ですねといってくれているのだから、2年後ぐらいにまたどこかへ旅公演に行けないものかなと私はひそかに期待している。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-21 17:13 | ゴンザーゴ殺し

2月20日 壮行会

毎年行ってるスキークラブのメンバーである向山宏志(むこうやま)さんが、ブルガリアに行く私のために壮行会を開いてくれました。

向山さんは私が日ごろお世話になっているアテレコのディレクターでありますが、珍しく『ゴンザーゴ殺し』を観に来てくださり、終演後私の友人二人と一緒に飲んで話しているうちに、たまたまそのうちの一人加藤さんが大変なブルガリア通でしかも六本木のホテルアイビスの取締役総務部長だったことから話が盛り上がり、向山さんは思わず勢いで「壮行会をアイビスでやろう」と口走ってしまったのでした。

向山さんが声をかけてくれたスキークラブのメンバー5人と、自分ひとりが壮行されるのは気恥ずかしいので私が声をかけて誘った若手出演者5名と、向山さんと加藤さんと私の総勢13名で、「壮行会」という名目の“飲み会”は行われました。

私は本来晴れがましいことが好きではないので、人数が集まらなくて中止ということになってくれてもいいなと思っていたのですが、こうしてブルガリア公演を祝福してくれる仲間が大勢集まってくれたことはとてもうれしくて、私は感激してしまいました。

結局2時間ぐらいのつもりだったのに、あまりの楽しさに時を忘れ、気がついたら4時間も飲み食いをしておりました。

向山さん、加藤さん、スキークラブのメンバー、それに共演者のみんな、ありがとう。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-21 14:41 | 日誌

2月17日 映画鑑賞

新百合ヶ丘のワーナー・マイカルにレイト・ショウを見に行きました。

公開も間もない「オペラ座の怪人」です。
1997年に劇団の仲間とロンドンに行った折、一番感動した舞台でした。
今回は映画なので話がよくわかり、その上スペクタクルになっているので視覚的にも楽しめるし、すばらしい曲と演技にも感動しました。

しかし97年に見た舞台の方が、英語をほとんど理解できなかったにもかかわらずより深く感動したような気がします。なぜなのでしょう?

それはおそらくライブ感の違いから来るのでしょう。映画の俳優も舞台の俳優もともによい俳優でしたが、映画の場合我々観客は無意識のうちに、これはフィルムに定着された人物で、決して今ここで実演されてはいないということを知っているので、緊迫感が薄れるのでしょう。

こうしてみると、我々のブルガリアでの公演も、少なくともライブでやる緊迫感は伝えられるかもしれないと思い、ほんの少しだけ気が楽になりました。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-20 02:11 | 日誌

2月16日

いずれミーコと僕の物語はお話しますが、今日は久しぶりに一緒にお風呂に入りました。
c0024024_0542664.jpg

最近はあまりなかったのですが、2年ほど前は私が「ミーちゃん、お父さんはお風呂に入るよ」といっていざなうと、後をついてきてお風呂のふたの上に乗って私が体を洗うのをじっと見ていたものです。
c0024024_12099.jpg

で、私は湯船につかった時に、風呂のふたを下から引っかいて遊んだりしてやります。

そしてこの後、「ミーちゃん、お父さんはお布団敷くよ」といっていざなえば、私が布団を敷き終わるのを待って布団の上に乗ってきます。
c0024024_1113690.jpg

そして大抵は、開いた私の足の間で毛づくろいをしながら私が寝つくまでいてくれる、かわいい娘なのです。
c0024024_1182372.jpg

[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-20 01:20 | 愛猫ミーコ

公演日誌 Ⅵ(打ち上げ)

京都2日目、1月31日。

なぜか興奮して、熟睡できず、朝7時頃目が覚める。
朝食をとってからまた少し横になる。

11時頃、2日に大阪で頼まれているワークショップの教材を探しに「丸善」へ行く。
2時間ほど探し回ったが適当なものが見つからず、結局まったく関係のない「傷ついた性」というデイヴィット・ルヴォーの演出の技法について書かれた本を買ってしまった。

明日まだ1ステージ残っているが、スタッフが一緒に参加できるのは今日が最後ということで、今日は一日早いけれども打ち上げである。
ところが、今日も客席は補助席が出るほどの入りだというのに、芝居のほうは幕開きで少し笑いがあっただけでその後は客席は水を打ったように静かなのだ。私はせりふがちゃんと伝わっているのかなと不安になるほどだった。

しかし、黙劇の稽古をするシーンからは笑ってもいいお芝居なんだと安心できたのか、いつも以上の笑いがあり、2幕の刑吏のシーンの前まで小気味の良いテンポで進んだ。
そしてこういう展開のとき良く起こることだが、拷問のシーンからはお客さんが固唾を呑んで芝居の成り行きを見守っているという感じだ。こうなればどんなにボリュームを落としてしゃべってもちゃんと伝わるし、自分がお客を操っていると実感できる、役者にとっては至福の瞬間が訪れる。

もちろんカーテンコールでは極めて満足すべき種類の拍手をいただいた。


さあこれで気持ちよく打ち上げにいけるぞと楽屋に戻ったら、驚いたことに吉水さんがまたもや現れた。わざわざ京都までもう一度見に来てくれたのだ。
大阪では冷静に観られなかったといっていたから、今日もう一度見て後輩たちに何か言ってくれようとしたのかもしれない。ついでに懐かしい打ち上げの雰囲気も味わいたいと思ったのかもしれない。
ともあれ、芝居の評判がいい時には特にうれしいものだが、吉水さんをまじえて一緒に楽しく飲み食いをした。
c0024024_1193960.jpg

                  楽屋に現れた直後の吉水さん
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-16 01:21 | ゴンザーゴ殺し

公演日誌 Ⅴ(京都)

1月30,31日,2月1日、京都府立文化芸術会館公演。

ここは419席という、大きすぎなくて設備も整った良い劇場だった。この芝居にはあっている。

c0024024_19162980.jpg

                  芸術会館の楽屋

30日(日)マチネーの公演は立見席が出るほど満杯だとのこと、我々出演者も興奮した。京都演鑑のお客さんも今まで見たこともないような種類の芝居を見たからだろうか、また派手目に改良したカーテンコールも手伝ってか、とても暖かい拍手であった。

金子、石田、坂本と帰りのタクシーが一緒だったので、私は昼飯をそこで食べたにもかかわらず3人を案内してまた餃子の「珉珉(ミンミン)」へ行ってしまった。お腹の具合が良くなかったのに紹興酒を飲んでいろいろなものを食べているうちすっかり直ってしまった。
それにしても「珉珉」は本当に安くておいしい。
c0024024_2042921.jpg

              食事に満足した3人を阪急の前で

この後、前日金子、水野と小沢さんとをお連れした、私のお勧めの居酒屋「三木半」(この店のさばの磯巻きというのが私は大好物なのです)の場所を石田、坂本に教えるため店の前まで行ったところ、偶然水野も来合わせたので、その店で若い女性スタッフと共演者にご馳走をしていた小沢さんたちに合流してまた少し飲みました。女性ばかり8人の一団でしたので大層にぎやかで、むくつけき男どももうれしそうでした。

その店を出てから小沢さんがおいしいコーヒーを飲みたいと言いだし、「六曜社」に大挙して押しかけた。このような展開になるのも旅公演に来ていればこそだが、賛助員のためのパーティの司会を頼まれた坂本のアイディアが次々湧き出し、大いに盛り上がった一夜だった。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-15 19:20 | ゴンザーゴ殺し

公演日誌 Ⅳ (大阪続き)

大阪での公演終了後、大変珍しく懐かしい人が楽屋を訪ねてきた。
10年前、当時のアテレコ業界で多くのディレクターに惜しまれ、それでもそれを振り切って実家の淨慶寺というお寺に戻ってお坊さんになられた、私の先輩吉水慶さんである。

吉水さんが楽屋を尋ねてくれたのは私が大阪での公演のご案内をしたからだが、今はまったくお芝居と縁のない世界に身をおいていても、昔一緒に苦労して芝居づくりをしてきた仲間との再会は10年という時の流れを感じさせない打ち解けぶりで、われわれも大変楽しく懐かしいお酒をいただいた。

その後、吉水さんは久々に昔の仲間に会ったせいで興奮したのでしょう、もう一軒行こうというので、私をはじめ金子、石田、坂本がお供をしましたが、連れて行かれた店は韓国から来たお姉さんが大勢いるカラオケスナックでした。
そんなところに行ったことがなかったからでしょう、金子、石田の二人はその女性たちとの応対に困っているように見えましたが、舞台の上であんなに怖い刑吏ややりたがりの俳優を演じているのにここではまったく初心な“貧しい新劇俳優”になっているのが、私や坂本にはとてもおかしく感じられました。

それにしても吉水さんの“ナマグサ”振りは健在で、私はうれしく思いました。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-15 19:00 | ゴンザーゴ殺し

写真(続き)

さらに2時間探しましたが見つかりません。
私はどうやら消してしまっているらしい。

大道芸の面々、寺内さん、教保さん、佐々木さん、美希ちゃん,はつえさん、フミちゃん、それに水車のサカイさん、ごめんなさい。

ホームページに写真を載せようとせっかく買ったデジカメでしたが、情けない結果に終わったようです。トホホ・・・。(泣)
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-13 14:48 | アルプスの少女ハイジ

写真

ブルガリアに行く前に、駒ヶ根で撮りためた写真を簡単なコメントとともに掲載しようと思って、私のパソコンの中を2日にわたり4時間探しましたがいったいどこに行ったのか見つけ出すことができません。

もうちょっとお待ちください。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-13 12:29 | アルプスの少女ハイジ

公演日誌 Ⅲ (28,29日大阪エルシアター)

大阪には公演当日の朝出発し、一度ホテルにチェックインしてから昼食をとり、すぐに楽屋入りした。開演は6時半だが、旅公演の初日だし、回廊の部分のセットが変わったり、紗幕の代わりにブラインドになったり、いくつか変更箇所があるからだ。

池袋の芸術劇場の場合、回廊の下手(シモテ、客席から見て左側)は行き止まりで、芝居の登退場は上手(カミテ、右側)しか使えなかったが、旅では両方使える代わり一尺幅の太い柱が二本入ってしまう。それでそれに合わせお客さんに良く見える位置取りをするため、回廊での芝居の部分を最初から当たっていった。
回廊を使う面々はそれぞれ軽くせりふを言いながら、このせりふでこう動く、ここの位置ではお客に見えないからあそこまで行ったほうがいいなどと、演出の菊地の指示に従いながら結構この新しいセットに適応している。
私は、わあ、我々が演じる旅の一座の話と同様、自分たちもホントに旅役者みたいにその会場の条件に合わせて芝居をしているなあ、と妙に感心してしまった。

古い劇場なので楽屋にトイレがひとつしかなく、これを総勢26名のスタッフキャストが使うので、我々はトイレのドアノブに「空き」、「男性使用中」、「女性使用中」の札を下げて使用することにした。
こんな悪条件も、芝居で演じる“旅役者”の気分を盛り上げてくれる。

さて芝居の方は王宮の人々に「ゴンザーゴ殺し」を見せているシーンで使われていた紗幕が閉じたブラインドに変更になったため、このシーンでしゃべる人たちの声が客席に届きにくかったようだが(これは翌日は音響の藤平美保子により解消された)、またエリザベスが小道具の剣を振り回してチャールズを追いかける最後のところで剣が折れてしまい一瞬困った顔の小沢さんを目撃したが、拷問のシーンからは話しの展開が息もつかせぬ感じで進むのでお客さんも固唾を飲んで観ているように思った。

そしてカーテンコールだが、これを藤田氏の助言で変えてみたのだ。
初演のときから芸術劇場の千秋楽までカーテンコールは演じた役を引きずって、幕切れのそれぞれの役の気持ちのままお辞儀をしていたのだが、藤田氏はそれではお客はウンコを全部出し切らないままトイレを離れるような気分で劇場から帰ることになる、それよりはオペラやバレエのカーテンコールのように晴れやかに派手にお辞儀をして,今までのは全部我々が上手に演じていただけなんですよとわかるようにお辞儀をするべきだという。そうすればお客も劇場を去るときに、アア、面白いものを観た、と満足して帰れるだろうと。

演出の菊地や共演者の了解をとってその方向でやってみたが、楽屋に訪ねてくるお客様たちの顔が、心なしか今までのお客様の顔より晴れ晴れとしているような気がした。
この後二日かけて改良を加え、女優陣を引き立たせるバレエ風カーテンコールは完成した。
[PR]
# by scrooge9902 | 2005-02-11 16:09 | ゴンザーゴ殺し



俳優イシナミヨシトの近況がわかります
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31
カテゴリ
以前の記事
お気に入りブログ
リンク
その他のジャンル
ファン
記事ランキング
ブログジャンル
画像一覧