石波義人の俳優日誌

公演日誌 Ⅲ (28,29日大阪エルシアター)

大阪には公演当日の朝出発し、一度ホテルにチェックインしてから昼食をとり、すぐに楽屋入りした。開演は6時半だが、旅公演の初日だし、回廊の部分のセットが変わったり、紗幕の代わりにブラインドになったり、いくつか変更箇所があるからだ。

池袋の芸術劇場の場合、回廊の下手(シモテ、客席から見て左側)は行き止まりで、芝居の登退場は上手(カミテ、右側)しか使えなかったが、旅では両方使える代わり一尺幅の太い柱が二本入ってしまう。それでそれに合わせお客さんに良く見える位置取りをするため、回廊での芝居の部分を最初から当たっていった。
回廊を使う面々はそれぞれ軽くせりふを言いながら、このせりふでこう動く、ここの位置ではお客に見えないからあそこまで行ったほうがいいなどと、演出の菊地の指示に従いながら結構この新しいセットに適応している。
私は、わあ、我々が演じる旅の一座の話と同様、自分たちもホントに旅役者みたいにその会場の条件に合わせて芝居をしているなあ、と妙に感心してしまった。

古い劇場なので楽屋にトイレがひとつしかなく、これを総勢26名のスタッフキャストが使うので、我々はトイレのドアノブに「空き」、「男性使用中」、「女性使用中」の札を下げて使用することにした。
こんな悪条件も、芝居で演じる“旅役者”の気分を盛り上げてくれる。

さて芝居の方は王宮の人々に「ゴンザーゴ殺し」を見せているシーンで使われていた紗幕が閉じたブラインドに変更になったため、このシーンでしゃべる人たちの声が客席に届きにくかったようだが(これは翌日は音響の藤平美保子により解消された)、またエリザベスが小道具の剣を振り回してチャールズを追いかける最後のところで剣が折れてしまい一瞬困った顔の小沢さんを目撃したが、拷問のシーンからは話しの展開が息もつかせぬ感じで進むのでお客さんも固唾を飲んで観ているように思った。

そしてカーテンコールだが、これを藤田氏の助言で変えてみたのだ。
初演のときから芸術劇場の千秋楽までカーテンコールは演じた役を引きずって、幕切れのそれぞれの役の気持ちのままお辞儀をしていたのだが、藤田氏はそれではお客はウンコを全部出し切らないままトイレを離れるような気分で劇場から帰ることになる、それよりはオペラやバレエのカーテンコールのように晴れやかに派手にお辞儀をして,今までのは全部我々が上手に演じていただけなんですよとわかるようにお辞儀をするべきだという。そうすればお客も劇場を去るときに、アア、面白いものを観た、と満足して帰れるだろうと。

演出の菊地や共演者の了解をとってその方向でやってみたが、楽屋に訪ねてくるお客様たちの顔が、心なしか今までのお客様の顔より晴れ晴れとしているような気がした。
この後二日かけて改良を加え、女優陣を引き立たせるバレエ風カーテンコールは完成した。
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by scrooge9902 | 2005-02-11 16:09 | ゴンザーゴ殺し
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