石波義人の俳優日誌

ブルガリア紀行Ⅹ ブルガリアでスキー

3月3日 

ブルガスからソフィアに戻った我々は、この日一日だけは全くの休日でした。
こちらでの仕事がすべて終わってからの休日というのはまた格別で、皆それぞれ計画を立てていたようです。街に残った人もいましたが、多くはバスをチャーターして「リラの僧院」へ行きました。

私と坂本岳大はというと、前日雪が降っている中で明日晴れたらスキーに行こうと話しておりました。当日朝起きてみるとすばらしいお天気ではありませんか!これは行かない手はないと二人していそいそとタクシーで20分の距離のアレコスキー場へ向かったのでした。

   (以下は日本ブルガリア協会で頼まれた原稿を少し手直しして掲載しています)
我々の唯一の休日というのは3月3日の解放記念日で、ブルガリア国民の休日でもありました。一行の多くはリラの僧院に観光に行きましたが、私と後輩の坂本岳大は日本のスキー仲間が開いてくれた壮行会の席で、ブルガリアでスキーをした日本人なんてほとんどいないはずだから是非とも体験してくるべきだとあおられていたこともあり、また私自身は日本での旅公演からブルガリア公演に出発するまでの間に予定していたスキーの楽しみを万一のことがあってはと断念せざるをえなかった経緯もあり、できればなんとしても行きたいと思っておりました。

その一週間ほど前に、スボゲという小さな町で日本語を教えている林田さんという方に出会って、プリンセス・ソフィアホテルからタクシーで20分ぐらいのところにアレコというスキー場があり20レヴァも出せば行ってくれるという話を聞いていたので、スキーの支度は何も用意していませんでしたがその日の空の青さに惹かれて行ってみることにしました。

で、ホテルでタクシーを頼もうとすると大柄の運転手がやってきて、スキーを1、2時間やるのならまた迎えに行くから50レヴァでどうかと持ちかけてきました。私たちは面白ければ2時間や3時間ではすまないだろうし、片道だけでいいと返事をしました。すると35レヴァだというのです。私はアレコまでは20レヴァぐらいだと聞いているからそれは高すぎるというと、自分は帰り道でお客を拾えないのだからから決して高くないと言い張ります。まあ35レヴァといえば日本円で2500円ぐらいの金額だから乗ってもいいようなものですが、日本人だからと甘く見て吹っかけているように思いましたので、今後ブルガリアを訪れる日本人のためにもそれにのってはいけないと思い、その申し出を毅然と断って別の流しのタクシーを拾いました。

 私たちが捕まえたタクシーの運転手はゲレンデまで行きたいというと分かったといって走ってくれました。この運転手は好青年らしく、途中信号待ちをしているときに窓拭き用の布を持って近寄って来た子供にチョコレートか何かを渡しておりました。私たちは悪徳運転手を退けてこのタクシーを捕まえてラッキーだったと喜び合いました。

 そうして15分ほどたち車はヴィトシャ山への雪の道を登り始めましたが、彼の車はスノータイヤを履いてなかったために途中でスリップし始めたのです。我々は車を降りて押してみたりしましたが、どうにも動きません。仕方なくタクシーをあきらめて私たちはまだ5キロ近くある山道を歩くことにしました。メーターはまだ7レヴァぐらいでしたが10レヴァ(700円)を渡してやると好青年は本当に申し訳ないといいながら今来た道を引き返していきました。我々としてもせっかくスキーに来たのにゲレンデも見ないで帰るわけにはいきませんし、また雲ひとつない好天気でしたから人家の全くない雪道を歩くのも悪くないと思ったのでした。それに山頂まではバスが通っていることを案内書で調べてありましたから、バスが通ったら乗せてもらえばいいし運良くヒッチハイクができればそれでもいいしと気を大きく持って二人は歩き始めたのでした。
       天は我々を見放した!と映画『八甲田山』の雪中行軍を真似る坂本
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       最悪の場合はゲレンデだけでも見て帰ろうと腹をくくる私
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 私もまさか56歳にもなってヒッチハイクをやろうとは夢にも思いませんでしたが歩き出して20分、二人分の席が空いてる車10台ぐらいに無視され、いよいよこれは山頂まで2時間のハイキングをしてゲレンデを見ただけで帰る羽目になるかもしれないなとあきらめかけたとき、一台の車が止まってくれました。彼は私と同じようなひげを蓄えた40半ばの建築家でしたが、今日の上天気に誘われてスキーに行く途中でした。ゲレンデまで乗せてくれないかと頼むと訳も聞かずに乗せてくれました。

 乗せてもらった礼を言い、どうしてこうなったかを一通りたどたどしい英語で説明し終わったとき、坂本がネジャルコ・ヨルダノフを知っているかと尋ねました。我々は日本の俳優でヨルダノフの作品をソフィアとブルガスでやってきたのだと話すと、彼はヨルダノフはもちろん知っているし、日本人の公演があることもニュースで知っていたそうです、残念ながら観てはいませんでしたが。しかしこの話題をきっかけに我々は打ち解けて、彼はロープウェイで下山する方法とか、スキー道具を貸してくれる場所とかをとても親切に教えてくれました。
ヨルダノフ,万歳!
 

こうして坂本と私はぬけるような青い空の下、防護柵など全然なく、山頂付近では大きな岩や背の高い草がむき出しになっている野性味あふれるヴィトシャ山でのブルガリアンスキーを日が暮れるまでたっぷりと楽しんだのでした。
                頂上付近のやたら広いゲレンデ
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                       坂本と私
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国民的休日でしかも上天気だったせいでゲレンデはとても人が多かったし、見たところ二人乗りのリフトがひとつと、股の間に直径20センチほどのアルミの円盤をはさむタイプのロープトゥが3本しかありませんでしたが、それにいちいちお金を払ってリフトを使用しなければならないのが少しだけ面倒でしたが、そんなことは問題じゃありません。公演をすべて終え、もう足を折ろうが怪我をしようが構いやしないと思える解放された気分の中で、ブルガリアでスキーを体験した数少ない日本人になれたことが最高にうれしかったのですから。
            滑り出しのときかなり衝撃があるロープトゥ      
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昼食のとき、屋外のテーブルでケバブとポテトとを摘まみながら二人はビールで乾杯しましたが,心の底からスキーに来てよかったと思ったことでした。
                       屋外の売店
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          ケバブを前にブルガリアでスキーが出来たことを喜ぶ私     
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                     レンタルスキー
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                      ゲレンデ
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                   スキーを満喫した二人
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これからブルガリアでスキーをされる方のために各種料金をお知らせします。

レンタルスキー一式  20レヴァ(1400円)
 (ただしこれはカービングなど新しいスキーを借りる料金で、古いのでよければ10レヴァで貸すところが別にあるそうです) 

リフト代          一回2レヴァ(140円)
              リフトごとに8レヴァの一日券もある

昼食代          二人で10レヴァ
              ビール2本、ケバブ二つ、4種類のソース、フライドポテト1つ

手荷物預かり      二人で5レヴァぐらい

トイレ使用料金     50ストチンキ(35円)

グローブと耳宛て   二つを11レヴァで購入したと思う

帰りのゴンドラ     一人3レヴァ
 (帰りにわかったことだが、このゴンドラは我々がタクシーを乗り捨てたところよりずいぶん下に終着駅がありました)

結局、スキーをされる人にはブルガリアはよいところです。ソフィアから30分ぐらいでゲレンデに行けるし、リフトもレンタルも料金は安いし、雪質もよいのですから。
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by scrooge9902 | 2005-04-19 14:02 | ゴンザーゴ殺し
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